一般的に知られている「肩甲骨はがし」は、この菱形筋のストレッチを指します。

肩こりに効果的と聞き、肩甲骨はがしをされたことがある方、多いのではないでしょうか?

ですが、実は多くの方にとって「肩甲骨はがしのみを行うこと」は症状を悪化させる行為です。

現代人の菱形筋に必要なのは「トレーニング」

現代人の多くは、菱形筋を弱化させています。

菱形筋が弱化すると、肩甲骨が離れ、肩が前方に移動する「巻き肩」になります。

巻き肩とセットで発生しやすいのが「猫背」と「骨盤後傾」です。
「巻き肩」「猫背」「骨盤後傾」はそれぞれが他の要素を誘発させる関係にあります。

デスクワークをしている人のほとんどが、「巻き肩」「猫背」「骨盤後傾」を3セットで発生させています。
記事を読まれているあなたもこれに該当されているのではないでしょうか?

「肩甲骨はがし」は菱形筋のストレッチになります。
弱化している菱形筋に対し、ストレッチのみを施すことは、伸びた状態を助長することになります。

こうなると、症状や姿勢はさらに悪化することになります。

状態を改善するには、菱形筋の硬化を改善した上で強化する必要があるのです。

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①伸びた状態で弱化・硬化している筋肉は硬化を改善・強化する必要があります。
一方、②縮んだ状態で硬化している筋肉は、硬化を改善し「拮抗筋」をトレーニングするのが効果的です。

菱形筋リリース

菱形筋が伸びた状態で弱化している方にまずおすすめなのが、この「テニスボールを使った菱形筋リリース」です。

テニスボールで圧をかけることで、硬化した筋肉が圧迫されます。
圧迫と圧迫解除を繰り返すことで、血流ポンプが活性化し血行不良改善効果が期待できます。


  1. 立った状態で菱形筋にテニスボールを当て、壁に押し付けます。
  2. そのまま体重をかけ、菱形筋に圧をかけていきます。
  3. 20秒間ほど圧をかけ続けましょう。
  4. 身体をグリグリ動かしてテニスボールを移動させ、リリースが菱形筋全体に行き渡るようにしましょう。

菱形筋ストレッチ

リリース後はストレッチを行い、硬化を改善させましょう。


  1. 椅子に浅めに座り、両手を全面でクロスさせます。
  2. 前かがみになります。このとき肩甲骨が左右に開く感覚」を感じるようにしましょう。
  3. そのまま20秒ストレッチしましょう。

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このストレッチはトレーニングをより有効にするための準備運動のようなものですので軽めに行いましょう。
このストレッチがやりにくい方のために、他に2つの菱形筋ストレッチをご紹介します。ご自身に合う方を実施されてください。



では、身体が硬い人向けの菱形筋ストレッチをご紹介しましょう。


  1. つま先を床につけて立ち膝になり、両腕を前に伸ばした状態で両手を組みます。
  2. 両手を前方に伸ばします。このとき「菱形筋がストレッチされる感覚」を感じるようにします。
  3. そのまま20秒ストレッチしましょう。

次にご紹介するのは「身体が柔らかい方向け」の菱形筋ストレッチです。


  1. 屈んだ状態で自身を抱きしめるように両手を前面で交差させます。
  2. 反対側の菱形筋に指をひっかけます。
  3. ゆっくりと前屈します。そのまま引っかけた手と共に菱形筋を外側に開いていきます。

菱形筋のケアトレーニング

菱形筋の硬化が改善してきたら、いよいよメインメニューです。
弱化した菱形筋を鍛えるためのケア・トレーニングを行いましょう。


  1. 立ったまま、こぶしを握った状態で両腕を前下方向に構えます。
  2. 腕を広げながら菱形筋に意識を向け収縮させていきましょう。
  3. そのまま20秒維持しましょう。
  4. 3セット行いましょう。

トレーニング前の肩甲骨の位置調整

菱形筋のトレーニング効果がなかなか現れない場合、肩甲骨の位置に原因があるかもしれません。

猫背姿勢のままだと、肩甲骨の動き(内転)が阻害され、トレーニングが機能しにくくなってしまいます。

これではトレーニング効果が薄れるだけでなく、他の筋肉に負荷がかかり、筋肉のバランスがさらなる悪化を招くことにもなりかねません。

ですので、猫背姿勢の方やトレーニングをやっているのになかなか効果が出ない方は、以下の方法でトレーニング前に肩甲骨の位置調整を行うことをおすすめします。

いかがでしたか?

ストレッチ/エクササイズを継続的に行うことで、筋肉は少しずつ緩んでいきます。

こちらのページでご紹介しましたストレッチ/エクササイズを1か月間、
毎日続けたにもかかわらず筋肉の状態や症状に変化が起こらない場合は、
他の筋肉が変化を妨げている、もしくは症状の原因かもしれません。

以下のページでは、菱形筋の周辺筋肉の概要やストレッチ/エクササイズの方法を紹介しています。
是非、ご覧ください。

また、肩こりの原因となっている筋肉の特定が難しい方、
複数の筋肉のこわばりが複数の筋肉に及び肩こりが発生している方向けに
「多くの方に効果が期待できるストレッチ」をまとめました。

合わせてご参照ください。

【肩こり解消】のためのストレッチ全集~お風呂上り編~
【肩こり解消】のためのストレッチ全集~デスクワーク編~
【肩こり解消法】タイプ別おすすめストレッチ&エクササイズをご紹介!

これらのストレッチを実践したにも関わらず、肩こりが解消されない場合、
その肩こりは、菱形筋のコリにより、さらに深層に位置する多裂筋や脊柱起立筋の胸部・頚部が「硬結化」したことで生じる神経根障害が原因かもしれません。

「硬結化」とは?
「硬結化」とは、
不良姿勢などにより炎症・損傷が繰り返し度々発生することで、筋繊維が硬く短縮したままの状態になってしまうことを指します。
硬結化した筋肉を「筋硬結」といいます。


以下のページで筋硬結を詳しく説明しております。
筋硬結とは?

成人した現代人のほぼ全員が筋硬結を有しています。
この筋硬結が感覚神経に影響する場合、肩こりや腰痛などの症状が発症します。

筋硬結は継続的に神経障害を引き起こすため、肩こり・腰痛は慢性的なものとなります。
この場合、この筋硬結を治療しない限り、肩こりが改善することはありません。

是非、当院の「慢性症状コース」をお試しください

筋硬結は、一般的な整体で行われるマッサージや手技で改善できるものではありません。

当院は、この筋硬結を施術対処とする専門院です。


正常な箇所への刺激を最小限に抑えながら、あらゆる慢性症状の原因である筋硬結を解消します。

肩こり・腰痛などの慢性症状を改善したい方は、ぜひ一度ご相談ください。