筋短縮とは「筋繊維が収縮したまま、元の状態に戻らなくなる現象」のことをいいます。

筋短縮を引き起こす主な原因は、ストレートネックや猫背に代表される継続的な不良姿勢です。

この①不良姿勢をきっかけに②血行不良、神経障害が発生、そして最終的に④筋短縮が発生します。

多くの人が悩まされる「コリ」は、この筋短縮です。

一般的に「コリ」と聞いて思い出すのは肩や首でしょう。
ですが、現代人が筋短縮を最も生じさせやすい箇所は脊柱周辺の筋肉になります。

なぜ脊柱周辺の筋肉が筋短縮を起こしやすいか、それは「現代人が脊柱周辺の筋肉を動かす習慣をなくしてしまったから」です。

そしてこの脊柱周辺の筋短縮が最も厄介な点、それは「筋硬結」と化し、あらゆる慢性症状を発症させることです。

このページでは、

  • 筋短縮がどのようにして生じるのか?
  • 筋短縮がなぜ改善しにくいのか?

これらをご紹介していきます。

筋短縮は①不良姿勢②血行不良③神経障害を経て生成される


先ほどお伝えしたように、筋短縮は①不良姿勢→②血行不良→③神経障害という経緯を経て発生します。

以下、この3つの工程を詳しくご紹介していきます。

①不良姿勢から②「血行不良」が生じるメカニズム

直接的な原因「筋肉の硬化」

正しい姿勢を保った状態で日常生活を送ることができている人はほとんどいません。
大体の人が「不良姿勢」で日々を過ごしています。

不良姿勢が「一時的なもの」である分には、あまり問題は生じません。
ですが、多くの人はこの不良姿勢を継続的なものとしています。

「継続的な不良姿勢」は、筋肉に「継続的な負荷」をかけることになります。

筋肉に継続的な負荷がかかると、その筋肉は次第に柔軟性を失い「硬化」します。
そして、筋肉硬化は「血行不良」を引き起こします。

こうして不良姿勢は、血行不良の直接的な原因となります。

間接的な原因「骨のアライメント異常」

不良姿勢は「間接的」にも筋肉の硬化に影響を及ぼします。

その間接原因が「骨のアライメント異常」です。

身体を構成している数多くの骨は本来、その一つ一つに「正しい位置」が存在します。

骨が正しい位置にあるとき、その周辺筋肉は「負荷がかかっていない状態」となります。
この状態を「アライメントが正常である」と表現します。

一方、不良姿勢により骨の位置がずれている場合、全体のバランスをとるために周辺筋肉は収縮を強いられることになります。
この状態を「アライメント異常」と表現します。

不良姿勢により発生したアライメント異常は、先ほどご紹介したように継続的なものとなるため、周辺筋肉の収縮の硬化の原因となります。

こうして、不良姿勢は「アライメント異常」という経緯を経て、間接的にも筋肉を硬化させる原因となるのです。


このように、継続的な不良姿勢は「直接的にも間接的にも」筋肉を硬化させ、血行不良を引き起こすのです。

③「神経障害」が生じるメカニズム

続いて、血行不良から神経障害が生じるメカニズムをご説明しましょう。

「血行不良」が生じると、その箇所には祖血(そけつ)と再灌流(さいかんりゅう)と呼ばれる現象が起こります。

祖血とは、血流減少に取る局所的な貧血のことをいいます。
再灌流は、祖血が生じた部分に再び血流が戻ることを言います。

この祖血と再灌流が生じるとそこにフリーラジカルと呼ばれる刺激物質が発生、神経にダメージを与えることになります。

こうして、血行不良から「神経障害」が生じます。

④「筋短縮」が生じるメカニズム

続いて、神経障害から「筋短縮」が生じるメカニズムをご紹介していきます。

まずは筋肉の正常な機能である「筋収縮」のメカニズムをご確認ください。

◆正常な筋肉の筋収縮・弛緩メカニズム

  1. 中枢神経から筋肉収縮の指令→「アセチルコリン」分泌
  2. カルシウムイオンが放出
  3. 筋収縮(ミオシン・アクチン結合)→ATP消費
  4. 筋弛緩(ミオシン・アクチン解除)→ATP消費

このように、中枢神経から指令が発せられ、アセチルコリンとよばれる筋肉の収縮を促進する神経物質でが分泌されます。

これにより、カルシウムイオンが放出され、筋収縮の担い手である「ミオシン」「アクチン」と呼ばれるたんぱく質が結合し、筋肉が「収縮」します。

この収縮した筋肉は、「ミオシン」「アクチン」の結合が解除されることで弛緩します。

そして、重要なのが「ミオシン」「アクチン」が結合・解除する際はいずれも「ATP」と呼ばれるエネルギーを消費する必要があるということです。

ここまでが筋肉の正常機能である「筋収縮」のメカニズムになります。

ここからは、神経障害による「筋短縮」が生じるメカニズムをご紹介していきます。

◆筋短縮の発生メカニズム

  1. 神経障害→「アセチルコリン受容体」の大量発生
  2. カルシウムイオンの大量放出
  3. 筋短縮(ミオシン・アクチン結合)ATPの過剰消費

神経障害が生じると、その神経が支配する筋肉全体にアセチルコリン受容体が大量分泌され、全体に広がります。
受容体とは、物質を受け止めるための容器です。

アセチルコリン受容体が増えるとアセチルコリンを大量に受容することになります。
これにより、筋肉は少しの刺激で過剰に収縮をするようになります。

この神経障害によるアセチルコリン受容体の大量発生で筋肉が過剰反応を起こす現象を徐神経性による「超感受性」といいます。

この超感受性により、カルシウムイオンが大量に放出されることとなり、結果、筋短縮が発生します。

筋短縮が発生した筋繊維が弛緩しにくい理由

筋短縮が発生した筋繊維は一度生じるとなかなか弛緩することができません。

以下、その理由を説明していきます。
再度、筋短縮の発生メカニズムをご確認ください。

◆筋短縮の発生メカニズム

  1. 神経障害→「アセチルコリン受容体」の大量発生
  2. カルシウムイオンの大量放出
  3. 筋短縮(ミオシン・アクチン結合)→ATPの過剰消費
  4. 筋弛緩(ミオシン・アクチン解除)→解除できない

超感受性による筋短縮を起こしている筋線維は、大量のATPを消費すること(工程3)になります。

それにより、その筋短縮を弛緩させるためのATPは不足状態となり、結果、筋短縮がいつまでも解除されず、そのまま継続することになる(工程4)のです。

つまり、筋短縮が発生した筋繊維が弛緩しにくいのは、ATPと呼ばれるエネルギーが不足してしまうからなのです。

この弛緩しにくい筋短縮を改善するには、血行を改善し、ATPが生成されるための酸素や栄養を供給する必要があります。
そのために必要なのは、筋短縮部分を動かすことです。

専門家の治療アプローチ、もしくは運動やストレッチなどが有効とされています。

しかし、こうした対処を怠りそのまま放置された筋短縮は、さらに悪化し「筋硬結」となります。

筋硬結と化してしまった筋繊維を、運動やストレッチで元の状態に戻すのは「ほぼ無理である」といえるでしょう。

ページ:筋硬結とは?では「この筋短縮がどのように生成されるのか」、そして「この筋硬結の解消工程」をご紹介しています。

なかなか解消されないコリにお悩みの方、慢性症状に悩まれている方、筋短縮に関する理解を深めたい方はぜひ、合わせてご確認いただければと思います。